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Fury Road

憤怒と死の砂嵐が轟々と吹き荒れるこのデスロードで派手に散るべく、ガソリンと火薬とともに日々の怒りを今日もぶちまけろ!!!

『グレートウォール』お前らちゃんと見張れとあれほど

ネタバレをしています!!!以下注意!!!

 

先に言ってしまうとこれと『キングコング 髑髏島の巨神』が同時にやってたら間違いなくキングコング行くなあ、、、という感じは多分にありおりはべりいまそかりでございました。

 

同じレジェンダリー怪獣シリーズとの直接の繋がりこそないものの、直前にあれをやられてしまったのはあまりにも時期が悪かったと言わざるをえない。饕餮の造形もスカルクローラーには明らかに見劣りする。歩兵饕餮だけ目が横っちょについてるのはなんなのか、、、弱点丸出し造形とはまさにこのこと。ただしここでマット・デイモンの異常なアーチェリー力を疑問視するのは当然野暮というものである。マット・デイモンだからいいのだ。饕餮からしてみれば嘘だろ、あれはジェイソン・ボーンだ的展開なのである。歩兵はともかく、女王の造形はもっと気合い入れるべきでしょ〜どう考えても。腹部をどっぷり肥大させて超キモくするとか、出産シーンを入れるとかいろいろできるのに、あまりにも陰が薄いよ、、、だいいち、養分を受け取るのが仕事なのに一個の口から口移しで順番待ちって効率悪すぎない?せめて肉団子とかにして置いてくとか女王に口をいっぱいつけるとかなんかあるよ!ただあんまりクイーンに凝りすぎるとほとんど『エイリアン2』みたいになってしまうというところはあるのだけど(終盤狭い廊下を猛ダッシュで迫り来る饕餮の大群を自爆で吹き飛ばすところなどもまんま)。だからあのガードナー君が鋼鉄のエリマキ造形然り、女王に食物を持ってきた歩兵を偉そうに検問するとことか饕餮の社会性を感じさせてくれたりとか唯一救いですよ。ありがとうエリマキ君。あとこの映画夜間の見張りを手抜きせず手厚くしてれば大体のこと解決できたと思うのでやはりトラブルは起こってからの迅速な対応のみならず未然の予防策にも十分に注力すべしと痛感するのであった。

 

主人公が自分の独りよがりな過去と決別するため仲間・信頼の道を選ぶという筋はもはやおなじみで単純明快ですが、ここにいまひとつカタルシスがないのはこの構図が陳腐化してるからというよりも、利他的な行動と世界を救うことの二つが十分に結びついていないからだと思われる。考えてみるとこの物語でその存在が大きく戦況を変えうるほどの力を持つのは二人の西洋人だけである。元将軍はなんかよくわからないうちに死んでしまったし新将軍=ヒロインもまったくジャンヌ・ダルク的な名女宰相たりえてはいなかった。問題は最後の決戦においてもヒロインはほとんどマット・デイモンとのチームワークを、いや少なくともあれほど親密になったからこそできる二人ならではのコンビネーションとかは見せないことだろう。ヒロインの活躍といえばワイヤーを引っ掛けてバットマンみたいにマット・デイモンを抱きかかえて(抱きかかえられて?)飛んだくらいで、これは確かに一人ではできないプレーではあったが、同時に「彼女でなくても出来ること」でもある。どうも主人公は世界が滅んだらてえへんだという気持ちよりは、彼女を救いたい一心で自ら戦場に赴き饕餮との決戦に臨んだようだったが、だとすると彼と彼女の二人だからできた戦い、ないし精神の働きがあったほうがしっくりくる気がします。え?最後の決死ワイヤーダイブの前に「信頼」の二文字があったろうって?ううむ、そんな「信じれば道は開ける」みたいないまどき安いドラマでも滅多に見ない根性論がその解決だとしたらその安さにこそ釈然としないのかもしれない。いやあ、ダメですねえこんな愚痴っぽくなるのは。ここはワイヤー作戦の後落っこちそうになったとこパシッて救ったし、壁での戦いの時も初指揮なのに淀みなく指示飛ばしてた(下にマット・デイモン生きてるのわかってて爆弾野打ちまくったことはこのさい不問とします)し、あのヒロインもなかなかやるじゃんということでさらさらするりと水に流しましょう。

 

この映画の魅力はやはりグレートウォールでの攻防戦に詰まっていると思う。つぎつぎ現れるカラクリ武器(特に壁ギロチンが最高)や絶対誰も迷わないくらいはっきり色分けされた兵卒たちの役割と名前のアイデアは万華鏡的に楽しめた。いまでは明らかに無謀な戦闘を強いられ屠られていった決死隊や鶏軍たちのことを思うと目の端に涙が浮かぶ。

 

ということで、『グレートウォール』、単に『ワールドウォーZ』の焼き直しシーンゴリ押し映画じゃなくてもっと快作になるポテンシャルのある企画だったとは思うだけにちょっぴり残念なのであった。おしまい。